記憶の仕組みを知る➡成績アップする勉強法はこれ! PART1

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記憶の本質 - 脳は「消去法」で記憶する

脳の記憶は、失敗を繰り返して強化されることがわかっています。これは違う、あれは違うと失敗を重ねるごどに何が良くて何がだめなのかを認識し、試行錯誤を繰り返してようやく正解にたどり着くのです。この試行錯誤の過程は、学習には絶対必要です。言ってみれば、脳の記憶とは「消去法」だと言えます。だめなものを切り捨てていくことで正解へとたどり着くわけです。

つまり、記憶するということは、「継続する努力」と「失敗してもめげない強さ」に尽きます。

しかし、努力といってもただ闇雲に突っ走るのは効率が良くありません。努力にも良い努力と悪い努力があります。

記憶の本質の話しとして、猿の学習過程のお話をしました。脳科学者が猿に課題を与えるときには、一般に段階ごとに分けて覚えさせるという方法を用います。つまり手順を分解するのです。

例えば、ボタンを押せばジュースが出てくる装置の前に猿を座らせ、「ボタンを押す」=「ジュースが飲める」を教えると、猿は何度もボタンを押します。ここまではそれほど難しい学習ではありません。しかし、そこにTVを用意し、「TVの画面が点灯した時」かつ「ボタンを押す」=「ジュースが飲める」を教えるのは非常に難しいのです。なぜなら、点灯とボタンの関係とボタンとジュースの関係という二つの因果関係があるからです。

そこで、この二つの因果関係を分解します。TVの画面の点灯は関係なく、「ボタンを押す」=「ジュースが飲める」を完璧に覚えさせます。その後、TV画面の点灯とジュースの関係を覚えさせます。そうすると、猿の学習が格段に早まります。

石井塾長
石井塾長

つまり、二つの関係を同時に覚えさせるのではなく、一つひとつの段階に分けて覚えれば、学習効率が上がるのです。

この事実は、学校の勉強にも応用できます。つまり、しっかりとした学習手順でもって学習する方が、最終的には失敗の数も少なくて済みます。

要するに、いきなり高度なことに手を出すのではなく、基礎を身につけてから少しずつ難易度を上げていくことが最も早く学力を習得することが出来ます。

基礎からなんて時間がかかりすぎるのではないかと思われるかもしれませんが、基礎力のない学習ほど時間の無駄使いはありません。最初はうまくいっている様に感じても、必ず壁にぶち当たります。そして、基礎力のない学生はこの壁を乗り越えることは不可能です。例えば応用問題とは、そのほとんどが基礎問題の複合です。基礎がわからなければ絶対に解けません。基礎力があり、応用問題の複合を分けて考えることを理解すれば、だいたいの応用問題は解けます。

よって、大切なことは、自分の学力レベルを見極めることです。高校生であっても、小学生分野で不安があればいち早くプライドを捨てて小学生用の算数の教材から勉強を始めるべきです。そうすれば、いきなり高校レベルの教材に取り組むより、トータルの勉強時間は格段に少なくて済みます。

自分のゴールを高校進学に定めるか、大学進学に定めるか、で異なりますが、大学進学をゴールに定めるのであれば、出来るだけは早く手を打つべきです。

記憶の本質 - 大局観

上述した通り、脳の記憶とは曖昧でいい加減です。この脳の性質に沿った学習方法をここでは具体的に説明します。

結論から言いますと、何かを習得しようとする場合、まずは大局観を理解しておくことが大切です。大局観とは、一言でいうと全体をマクロ的、つまり大まかに把握するということです。初めは細部を気にしないで大まかに理解するのです。細かなところは、その後で少しずつ覚えていったら良いのです。もともと脳の記憶とは大ざっぱで曖昧ですから、初めは似ているものを区別出来ないのが普通です。「試行錯誤」し、「失敗」を何度も繰り返してようやく身につくものだからです。

つまり、違いの大きなものを区別できるようになってからでないと、小さな違いを区別できるようにはならないのです。細かい物事の差を知るためには、まず一度、大きくものごとをとらえて理解することが必要です。これも、一見遠回りにも見えますが、例えば赤色と橙色の違いを学習するためには、まず赤色と青色の区別を覚える方が、結果的には早く学習できます。脳は曖昧な記憶方法をとっているため、このような手順を踏むことが大切なのです。

勉強でも同じことが言えます。

石井塾長
石井塾長

例えば、日本史を学習する時のことを思い浮かべて下さい。この時、学生の皆さんは、ある特定の時代の細部をいきなり理解しようとしてはいけません。

仮にそれをしてしまった時、ある部分が理解出来たかのように感じても、それは理解の浅い知識にすぎません。全体から切り離された断片的で役に立たない知識と言えるでしょう。そんな知識は、脳の記憶の中からすぐに排除されてしまうのがオチです。

そうならないために、まず縄文時代から現代までの全体を大きくとらえて、大局的な歴史の流れをしっかり把握し、それから各時代の流れを少しずつ理解していくべきです。細かい部分はその後に覚えればよいのです。こうした学習方法は、決して遠回りではなく、脳の性質を考えた時に最も効果的な方法です。学生の皆さんが、大切な記憶を長期にわたって蓄えておきたいと考えるなら、いつも目の前のテストにばかり目を奪われることなく、長期的な視点で学習プランを立てて、実行に移すことです。

ところで、ある分野(教科)の理解の仕方を覚えると、他の分野(教科)に対する理解の仕方までもが上達するのは脳ならではの特徴です。脳が記憶するときには、対象となるものごとをを記憶するだけでなく、ものごとの「理解の仕方」も同時に記憶していることがわかります。理解の仕方を覚えれば、異なるものごとの間の「法則性」や「共通点」を見つけ出して、より早く、より深く理解することできるようになります。この点が、学習において非常に重要なポイントになります。脳科学の専門家は、これを「学習の転移」と呼びます。転移の効果は、学習のレベルが高くなればなるほど大きくなっていきます。

勉強で言えば、ある教科をマスターすると、今度は他の教科の習得も容易になります。

どの教科でもトップクラスの成績を残すことができる優秀な学生は、一つの教科さえもマスター出来ない学生からは超人的な天才に見えるでしょう。しかし、それは生まれつき頭が良いという理由ではなく、いろいろな教科の学習能力が転移しあった結果であると言えます。

まずは、どの科目も均等に勉強し、平均的に点数をかせぐという方法よりも、一つの科目を集中して勉強する方が長い目で見れば効率的なのです。

学校のテストが間近に迫ると、どうしても赤点を免れるために、全教科を均等に勉強してしまいがちです。しかし、普段の勉強では、一つの教科に出来るだけ多くに時間を費やしましょう。まずは一つ得意科目を作ることが大切です。得意科目を作ってから、他の教科の修得に取り組む方が脳科学的には理にかなっているからです。


こんなお話も含めて、無料受験相談でいろいろお話しています。

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この記事を書いた人

偏差値50から慶応大学に現役合格した効率のよい学習法をお伝えします!

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